なぜ腰が痛くなる?

極簡単に言えば、腰(骨盤)が下がっているからです。骨盤が下がって背骨のS字湾曲が崩れてバネが効かず、いわゆる「腰が入っていない」「腰が抜けている」状態です。単純に、腰を上げ腰の前湾曲を取り戻せば腰痛は起きません。以下3種の体操で腰痛を起こさない腰になります。

1.硬直した腰の骨(腰椎)を緩める体操

2.腰の反り(前湾曲)を作る体操

3.骨盤を挙上する体操

 

もう少し詳しく腰についての整体的見方をご説明します。

1. 動作でわかる腰痛~体運動と腰

腰椎は背骨の中でも一番大きい五つの骨で、上から腰椎1番、腰椎2番と数えて、一番下を腰椎5番と呼びます。さて人間の基本的な動作は、前屈・開閉・捻じり・側屈・反りの五つの動きの組み合わせで成り立っています。そしてこの五つの動きと腰椎の五つの骨はそれぞれ対応した関係があります。

腰椎1番=反り
腰椎2番=側屈
腰椎3番=捻じり
腰椎4番=開閉
腰椎5番=前屈
手を後ろにまわして親指で腰椎を挟んでそれぞれの動作をしてみるとその骨が起点となって動いているのがわかると思います。(4番の開閉というのは足を開いていく動作です)
五つの動きは腰椎だけでなく胸椎から頸椎まですべての脊椎に対応した動きの関係があるのですが、この動きに制限がかかっている箇所に問題があります。簡単に言えばお辞儀して痛いのなら腰椎5番の異常、後ろを振り向いて痛いのなら腰椎3番の異常です。ではなぜ腰椎の動きに制限がかかるのでしょう?

2. 臓器的な関連

もうひとつ椎骨には脳から各器官への神経が通っていますので、骨の動きが悪ければそこを通る神経の伝達も悪くなり臓器の働きに影響を与えます。またその反対に臓器から椎骨に影響を与えることもあります。
腰椎1番=神経・知覚
腰椎2番=大腸・盲腸
腰椎3番=腎臓・血行・性器
腰椎4番=卵巣・こう丸
腰椎5番=膀胱
例えば消化器に過剰な負担がかかると(食べ過ぎなど)腰椎2番は硬直します。
これが腰椎2番の腰痛を起こす原因となり、側屈すると痛むことになります。

3. 力学的な関連

ただし腰椎には生理的な湾曲がありますので腰椎3番を軸にして力学的な関係も作用しています。2番に変動があれば4番にも影響がおよびますし、隣接する1番や3番にも影響します。たとえば極度に緊張すると腰椎1番(神経)が硬くなって、直接連動する腰椎5番(膀胱)に影響しておしっこがしたくなる、あるいは隣接する腰椎2番(腸)に連動して下痢になる、というと理解できるでしょうか。
また構造的には腰椎4番と5番は人体すべての土台となる場所でもあるので、2番が狂えばその影響を常に受け持つ場所でもあります。またそもそも土台の4番5番に力がなければ腰椎全体の硬直をおこしますので慢性的腰痛になる場合もあります。
こうなると何が何だか分からなくなりますので、実際には手で触れて異常がどこから来てどこに影響を及ぼしているかを見ていくことになります。

どうやって治す?

原因の腰椎が特定できたら、その骨の可動性を回復できれば痛みはなくなります。動きをつけるためには弛める必要がありますが、そのためには「一旦力を集めてから抜く」ことが有効です。そこで目的の腰椎に合わせた体操ができるといいのですが、もっと簡単に痛いところに蒸しタオルを当てるというのも効果的です。
また痛いところに手を当てるのが人間の本能的な行為ですが、気を集める訓練された手を当てる行為を整体(野口整体)では愉気或いは輸気と呼んでいます。気が感応してくると温かくなったり脈を打ってきたり、ごろりと硬さがゆるんできたりします。
ただ体の異常が常態化していればいるほど症状が長引いたり繰り返したりしますので、生活習慣の改善や操法や体操によって体を変えていく必要はあります。