武道などでは良く聞く『上虚下実』ですが、実際に整体ではお腹でこの『上虚下実』を確認しています。

鳩尾(上丹田)

一般に鳩尾(みぞおち)と呼ぶ部分ですが、正確には剣状突起から指三本下の処で『上丹田』と呼ぶ場合もあります。

仰向けで確認します。ここは呼吸を吸っても吐いても常に緩んでいる状態が『虚』と言う状態で、反対に頭の緊張があると固くなります。頭がいつも忙しい人、邪気に満ちている人は固く『上実』ですので、邪気を抜き『上虚』になるようにしましょう。

邪気抜き

正座をして両手の人差し指を重ねて鳩尾の剣状突起の下に当てます。指をくっつけて薬指の処が上丹田です。

まず上丹田に重ねた中指を置いて、お辞儀をしながら息を吐いていきます。頭は前を向けてお辞儀をすると指が骨に当たらずにできます。

そして、吐き切ったところで指を更に押し当ててもうひと息吐きます。

次に、頭を上げながら息を吸って元に戻ります。

以上を繰り返して、鳩尾を緩めていきます。

あくびが出るまでやりましょう。

『虚』の状態であれば2〜3回もやれば、あくびは出ます。

丹田(下丹田)

下丹田は恥骨の上端から指三本分上の処で奥行き方向はお腹の中、体の真ん中辺りです。

ここは呼吸を吐いても吸っても常に固く弾力ある状態が『実』です。実際には呼吸を吸ってから吐く瞬間(吸っても吐いてもいない一瞬)の弾力を見ます。

吸っても吐いても常に緩いのは『虚』です。

下丹田は体力、生命力、排泄力を現しますので、『下実』であればたとえ病気の状態でも本人の力で回復する力があると言うことです。

整体では、丹田呼吸法や正座仰向け体操などで実になるようにしていきます。

中丹田

上丹田と下丹田のちょうど真ん中に中る処です。ここは虚でも実でもない『冲』である処で、内臓の状態や消化吸収の状態を現します。

上丹田が『虚』で下丹田が『実』であれば上下のバランスをとる処ですので、ここは『冲』です。簡易的には、吸いで固くなり、吐きで柔らかくなる状態です。

 

実際には『上実下虚』の人が本当に多いので、健康に気をつけている人や精神を整えるには基本の基本ですので、先ずは『上虚下実』の体を身につけておくのが一番だと思います。健康診断で異常はないし、体の不調もないと言う人でも、上虚下実でない人はざらで、操法では注意が必要な体として見ていきます。

体力、生命力、回復力がなくなっていくと、鳩尾が硬くなり、下腹は力なくズブズブになります。まさに『上実下虚』で、最期死の4〜5日前になると鳩尾に硬結が現れます。食べ過ぎや前屈姿勢は鳩尾を硬くしますので、ある意味死に向かう方向とも言えます。